合言葉は『Players First』『ベストサポーター』

合言葉は『Players First』『ベストサポーター』

○子どもたちの自立を応援しましょう

保護者のみなさんの積極的に関わり、それが、子どもたちの大きな助けになります。
みなさんの一生懸命な応援や献身的な協力のお気持ちは、大変ありがたく、子どもたちにも励ましになります。
練習の送り迎え、また、特に遠征や試合等では、年齢が低いほど、引率やお世話の必要が生じます。
そういった協力なくしては、クラブの運営は成り立ちません。

サッカーの試合に行くと、よく見かける光景があります。

試合場でのチームの場所取り、飲み物も着替えも、何から何まで親が準備。
子どもはただ単に用意されたものを飲み、言われるままに着替えるだけです。
いつも必ずそろっているから、「ありがとう」とさえ言わない子どももいます。
お手伝いいただくのは、たいへんありがたいことです。
でも多くは子どもたち自身で十分にできること。

子どもなりに、必要なことは自分で必要だと思って、自分でやるということこそ大事。
足りなかったり不便だったりしたら、自分で考えて、工夫したり相談したりで何とかする。
そして次にはそうならないようにすることが大切です。

サッカーの合宿に集合したときに、スパイクシューズを忘れてきてしまった子がいました。
その子に聞くと、いつも自分ではなく母親が用意をしているので自分のせいではない、とのこと。
親が電話をしてきて、届けに来ると言います。
「運動靴でやらせるから結構です。」とお断りしました。
3日間の合宿で、その子はすべりやすくてやりにくそうにはしていましたが、運動靴で最後まで練習をしました。
その後、その子は決して忘れ物をしないようになりました。
お母さんによると、それ以来、必ず自分自身で用意をするようになったとのことでした。

ピッチに出たら、自分自身で判断して行動しなくてはなりません。
サッカーは、自立が大切なスポーツです。

自立しているというのは、自分自身で判断して、責任をもって行動する、ということです。
誰かにやれと言われたから、ではなく、自分自身がやりたい、やったほうがいいと思うからやる。
失敗も自分の判断によるもの。
誰かのせいにはできません。

私たちは、自立した選手を育成しようとしています。
子どもたちの自立を日々促し、応援しましょう。

○試合で応援しましょう

スポーツにおいては、勝敗がいちばんわかりやすい価値です。
自分の子どものチームに勝ってほしい、応援にすっかり熱が入り、子どもたち以上に勝てば大喜び、負ければがっかり、これは自然な姿です。

しかし、チーム競技であるにもかかわらず、自分の子どもの一挙手一投足に必死の声援を送り続け、勢いあまって味方の子どもにまで怒鳴ってしまったり、相手チームに野次や文句を言う大人の姿はまれではありません。
これは子どものスポーツの場にそぐわない光景です。

みなさん、大丈夫です。
悲鳴をあげないでも。
失敗しても、転んでしまっても、ボールを持っているだけで失敗しないかと心配しなくても。

スポーツではベストを尽くすことが大切。
子どもたちは落ち着いてプレーしようとしています。
ぶつかってしまっても、わざとじゃありません。

サッカーのルールは単純ですが、たくさんの要素が絡み合った、複雑なスポーツです。
勝敗には偶然も運もかかわります。
そんなサッカーだからこそ、プロセスや内容が大切になります。

勝ちはもちろん成功経験につながり、子どもが育つ力となります。
しかし、成功経験は試合での勝利だけからしか得られるものでなく、負けて学ぶこともたくさんあります。

まずトライ。
失敗したら次には成功するように。
その積み重ねです。

負けや失敗を恐れるあまり、トライをしない。
これは子どもたちのサッカーには無用です。

勝ってうれしい、負けてくやしい。
子どもが勝敗をうまく自分の中で消化し処理できるように、勝ちも負けも、次に向かってポジティブに自分の糧にできるように、大人はその手助けをしてあげるべきです。

どうです?
自分の子どもがボールを持ったときに、ミスが怖くて「早くけって~!」などと悲鳴のような声は、子どもがせっかく日頃練習してきたことを試そうとしているのに、それはないですよね?

そしてもうひとつ。

仲間と助け合うこと。
これこそが、サッカーの大きな特徴の一つです。
それはチームメイトだけではありません。
相手チームもそうですし、審判もそうです。
みんながそろって試合が成り立つのです。

そうです。
サッカーに「敵」はいません。
サッカーを楽しむ「相手」「仲間」がいるんです。
なかなか手ごわい相手こそ、お互いを高めあうすばらしい「仲間」ではありませんか。

さあ、まず、子どもが何をしようとしているか、見守りましょう。
精一杯のトライ、夢中になっているその姿を、暖かく見守りましょう。
子どもがうまくいってもいかなくても、励ましてください。
ベンチと反対のサイドから一生懸命応援し、自分の子どもばかりでなく、チームメイト、そして、相手チームにも、みんなの良いプレーに拍手をしましょう。

○コーチを応援しましょう

コーチは子どもたちがサッカーを楽しめるように、皆がうまくなれるように、日々、そしてゲームの日も、がんばっています。
皆が良い経験をして、多くのことを学べるようにしようとしています。

子どもたちが「試合に勝ちたい!」と思う気持ちは非常に大事です。
しかしこれは、子どもたちの気持ちです。

勝つために全力でプレーすることを促すのも必要ですが、全ての子どもが実際にプレーする機会を与えるようにすることが重要です。

子どものときには、将来すばらしいサッカー選手になるための準備をすることが重要で、ポジションも役割も、何かひとつに決めてしまわないで、いろいろなポジションを経験させています。
そのことが、サッカー全体やさまざまな役割の理解につながります。
気づかなかったいろいろな可能性が見えてくるかもしれません。

役割を固定して目の前の試合に何がなんでも勝とうとするよりも、よほど大切な成果があるでしょう。

「勝つ」ことが、指導者のモチベーションになり、子どもを駒のように動かすようなことがあってはいけません。
ベンチで、子どもたちのやることを限定的に指定してしまうことを「サイドコーチング」と呼びます。
サイドコーチングを続けると子どもたちは自分で判断することをやめ、ベンチから聞こえてくる声だけを聞いてプレーするようになるでしょう。

準備をしてこなかったことがゲームでできなくても当たり前。
それを叱っても嘆いても無駄です。
「トライ & エラー」の中から、学ばせること。
次にはもっとうまくいくように、しっかりと身につくように、学ぶ手助けをすることが重要です。
子どもたちの良いプレーを引き出し、子どもたちが必要なことをしっかりと身につけることができるような有効な働きかけが「コーチング」なのです。

「おれが若い頃にはもっと…」「そんなことをやっていては駄目だ!」「もっと厳しく練習しないと」「戦術練習が足りない」などと、歯がゆさを抑えきれないお父さんもいます。

サッカーには非常にいろいろな要素があり、一面的には処理できないことがたくさんあります。
いろいろな考え方があり、いろいろなやり方があります。
そして、サッカーも年々進歩し、大きく変化しています。
コーチは、一生懸命勉強して、良い指導をしようとしています。
指導者養成講習を受けてライセンスをとったり、その後もさらに研修を受けたりして勉強しています。
それを尊重しましょう。
それを信頼しましょう。

コーチはコーチに任せておいて!

でもお父さん、良いものは伝えてください。
ご自分がやってきて、良かった経験をぜひお子さんに伝えてください。
ご自分が良い経験、楽しかった経験、充実し満足した経験をしてきたからこそ、今でもサッカーが大好きなんですよね?
そんな人がたくさんいることが、サッカーの持つ力、サッカーの財産です。
お父さんのように、サッカーが好きで、一生サッカーを楽しみ続けるような子どもに育てましょう。
一緒に楽しみ続けるのは、とてもすてきなことではないですか?
もしできたら、指導者となって一緒にコーチしましょう。

○審判を応援しましょう

試合中、「オフサイド~!」「審判ちゃんと反則とれよ」「相手の反則じゃないか~」といった審判に対する罵声が応援席から聞こえてくる場合があります。
一生懸命にそして必死にプレーしている自分の子どもやその仲間が審判に誤審をされてゲームに負けでもしたらかわいそう、見ていられない、といった気持ちが良く伝わってきます。

でも審判は、公平に、子どもたちのすぐ近くでプレーを見守って、ゲームがうまく運ぶようにコントロールしようとしています。
審判は、みなさんよりも近くで、みなさんが応援でサッカーを観ているのとは全然違う見方でゲームを見ているのです。
何としても勝ちたいと思っている2つのチームのゲームが、公平に安全に進行するために。

もちろん、ときには間違った判定がなされるかもしれません。
同じサッカーを愛する仲間として、そのミスを次に生かしてもらうようにしましょう。
判定が常に完璧にされるものではないということや、自分たち自身でルールを守ることの大切さ等を子どもたちに分かってもらいたいと考えているからです。

審判は審判に任せ、審判を信頼してください。
そして、審判の判定を尊重しましょう。

みなさんも資格を取って、審判をしてみてはどうでしょうか。

○「ベスト・サポーター」を目指して!

保護者の協力の中で、一番重要なのは「子どもたちの成長に一番良いこと」をすることです。
あくまで子どもの活動のサポートであることを忘れずに、大人同士で考え、話し合い、カバーし合っていきましょう。

日本サッカー協会から少年サッカーに対する要望があります。
それは、「 Players First 」です。
子どもたちには勝ってうれしい、負けてくやしいという気持ちを大いに持ち、負けん気をもって、目標をもって、がんばって欲しいと思います。
そして大人は冷静に、コントロールされた気持ちでいるべきです。

ぜひ、子どもたちのために、最高のサポーターを目指しましょう

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